こんにちは。5回生の村松大地です。
11月は4週間 県外実習が続いていて、少し気疲れしています。
今回は題にある通り、マッチング対策についての戦略的なアイデアを少し共有したいと思います。私は面接点で京医に入り、学内の病院実習コース決めも攻略した(と考えている)ので、したたかさには過剰な自信があります。既に共感性羞恥を感じられた方はブラウザバックすることを推奨します。
私からみて同期、特にイリクの皆さんは、非常に賢くて素敵な方々だと思っているので、ぜひマッチングもしたたかに乗り切り、自己利益を確保してほしいと思います。同期や先輩などで、戦略的で姑息で優れた手法をご存じの方がいらっしゃれば、ぜひ教えてください。
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目次
① 自己分析その一:希望する病院
② 自己分析その二:自分の強み・売り出し方と戦略
③ 耐戦略性
④ 受験数および病院はどのように決めるべきか(本題)
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① 自己分析その一:希望する病院
まずは自己分析について。研修病院について調べると "ハイパー気質"とか、"手技が豊富"とか、様々な検討事項が出てきて、何から検討したら良いか分からなくなりがちなので、自己分析して、譲れない条件を考えましょう、というのはよく言われていますね。
しかし、譲れない条件なんてありますか?もしあなたが代々整形外科をしている一家の御曹司で、整形外科にならなければ絶縁されてしまうような状況であれば、この文章は読んでいないはずです。そもそも自己分析で行き詰まりを感じているような人は、そもそも譲れない条件なんてないでしょう。
重要なのは相対評価です。約1万人の枠の中でどのように考えるかです。病院の席数を分母、同世代の数を分子と考えると、特定の地域を希望するのであれば一気に分母と分子は減りますし、最近のトレンドである「ややハイポ~ややハイパー」を希望するのであれば、それほど分母と分子に影響しません。高給を希望すれば分母は減りますが分子は変わらないでしょう。分母分子に大きな影響を与えるような条件の特定を急ぎましょう。
なお、分母分子の比が1未満であればマッチングに戦略も努力も不要です。私は関東希望で、給与もたくさん欲しいので、マッチング対策が必要そうです。
②自己分析その二:自分の強み・売り出し方と戦略
自己分析には目的に応じて様々なものがあります。次は自分の強みを検討し、それに応じた戦略を立てます。後に改めて項目をつくりますが、不確実性の高い(不確実性を高める)強みなのか、不確実性のない(再現性の高い)強みなのか、など、強みの種類によって戦い方も大きく変わってくると思います。強みは以下に大別できます。
学力:筆記テスト100%の病院もありますが、趣旨に外れるので言及は控えます。
いかに効率よく出題傾向対策をするかについて述べるのは、釈迦念ですしね。再現性の高い強みです。
経歴:経歴が強みになる病院もあります。再現性は高いが、不確実な強みです。
非認知能力:マッチング期間は自分を装うことが必要になります。意欲的で、自信に満ち、忍耐強そうで、自立して、自制でき、協調できそうで、共感性のある振る舞いをしましょう。なお研修医として必要な人物像は、どの病院も大差ありません。欠点として捉えられることもある事柄ですが、できるだけポジティブな気持ちで取り組むことが有用だと思います。
③耐戦略性
自己分析のほかにもうひとつ、マッチングの前提となる耐戦略性について言及します。
ひとつひとつの受験については、できることは限られています。同じ病院の受験者同士、同じような対策をするからです。マッチングという形式にこそ、対策可能性があります。
マッチングシステムには耐戦略性があります。オークションなどにおいて耐戦略性とは、"「自分の真の評価値以外の値を入札しても、絶対に得をしない」という意味になります。 つまり、ある財において0.5円の評価をしていた場合に、それ以外の評価値で入札しても得をしないという意味になります。" のためマッチングシステムにおいては、希望度順についてつけ入る隙がありません。(学内の病院実習コース決めは脆弱であり、複数人で協力して第一希望以外を工夫することで、各人の第一希望当選可能性を上げることができました。)
マッチングシステムで唯一戦略的に取り組むことができるものがあるとすれば、それは受験数です。「たくさん受けても実力がないと意味がない」というのも「数うちゃ当たる」というのも、どちらも条件次第では正しいのですが、これについて深く考えるというのが今回のテーマでした。
④受験数および病院はどのように決めるべきか(本題)
現在市況はどうなっているのでしょうか。2023年度では平均4.35となっており、近年増加傾向にあります。レジナビは、3は欲しいよねと言っています。じゃあ4つくらい受けといたらいいのでしょうか?
結論から言うと、マッチする確率および確率分布の√分散に基づくと、多くの場合において適切な受験数および病院を決定できます。説明のために簡略化しますが、病院はマッチングにおいて、i学力試験型 と ii面接試験型というのに大別できます。
i学力試験型
学力や履歴書に基づいて判断される病院のこと。
このような病院では、難易度の上昇に応じて合格確率は下がっていきますが、同じ病院を複数回受験したと仮想したときの合格確率の分散は小さいです。そのため、難易度別に3-4病院受験すれば十分、実力に見合った病院にマッチすることができます。
ii面接試験型
学力以外の経歴、コミュ力、非認知能力などによって判断される病院のこと。
このような病院では、経歴やコミュ力、非認知能力は、面接で正確に判断できる可能性が低いです。キャラ設定や売り込みが当たるかは、審査者個人との相性に依存するため、同じ病院を複数回受験したと仮想したときの合格確率の分散は大きいです。このような病院を中心に受験する場合では、より多くの受験をした人が有利になります。
実際のところは、筆記で足切り、面接で最終評価という病院が多いですが、そのような例でも重みづけにより分類できます。そのうえで、①で希望する病院群について、およそ何%で受かり、不確実性はどれくらいなのかを把握することが大事です。
また上記のタイプを踏まえると、個別の受験対策についても適切な努力水準があることが分かります。
学力試験型:
ia 合格確率 -30%、標準偏差5%:受かってもしんどいのであきらめる。
ib 合格確率 30%-80、標準偏差5%:第一志望であれば専念して取り組む。
ic 合格確率 80-、標準偏差5%:滑りどめとして1-2つまで受験。
面接型:
iia 合格確率 5%-10%、標準偏差30%:攻めた返答で不確実性を上げる。事前準備がキツければ捨てる。
iib 合格確率 10%-60%、標準偏差30%:第一志望であっても専念しすぎない。
iic 合格確率 60%-、標準偏差30%:iicより志望度が高い範囲で、3つ程度まで受験。バランスの取れた回答で順当に受かりに行く。
なお、ここで示した値%に根拠はありません。(ここ重要)
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以上、マッチングにおける合理的な戦略について考えてみました。
少し疲れたのでこのへんで