kyotomedtrackandfield’s diary

ー京都大学医学部陸上部の公式ブログー

コロナと陸上部

お久しぶりです。5回生の廣川です。みなさんいかがお過ごしでしょうか?6月くらいまではオンライン陸上部と称して後輩といろいろやっていたのですが、諸事情あって、顔を出せなくなり、近況をきけずにさみしい毎日を送り、あつ森にはまっております。他にはまっている人がいればぜひ連絡を下さい。通信しましょう。(本当に楽しみにしてます。ぜひ連絡を。)

 

何を書こうかかなり悩んだのですが、今後の部活とコロナについて少し書いてみたいと思います。

 

まず始めに、世の中の情報は全て間違っているとは言いませんが、読み手に誤解を与えるような表現をしていることは多々あります。医学生なら授業で習う、あるチョコレートの説明を例に出してみましょう。

 

「本品にはγ-アミノ酪酸が含まれます。γ-アミノ酪酸には、事務的作業による、一時的・心理的なストレスの低減機能があることが報告されています。」

 

2文で構成されていますが、それぞれの文章に間違いはありませんが、本品に含まれているγ-アミノ酪酸が効果があるとは言ってません。γ-アミノ酪酸は抑制性神経伝達GABAのことですね。

 

では、次の文章はどうでしょう。

 

コロナウイルスに対するワクチンを接種すると抗体反応が起こることが確認されました。抗体反応は、ウイルス感染に対する免疫機能にかかせない反応です。」

 

これもそれぞれの文章に間違いはないでしょう。では、ワクチンを打てば安心できるでしょうか?それは分かりません。

 

ワクチン接種でできる抗体はウイルス感染を防ぐのに十分な機能をはたすのか?抗体はどれ程持続するのか?海外で流行しているウイルスに対しては反応するが、国内で流行しているものにも効果があるのか?疑問は尽きないですが、検証することは難しいでしょう。

 

一般論として、コロナウイルスRNAウイルスなので変異は入りやすく、ワクチンは作りにくいとされます。また、新型コロナウイルスも感染したとしても、抗体がすぐに脱落してしまう可能性が高いといわれています。1,2 そして、集団免疫も多数の被害が出たスペインですら、全人口の5%しか感染していなかったことから、難しいのではないかといわれています。3

 

個人的には上のような理由から、ワクチンや集団免疫といった戦略は厳しいと考えています。となると、導き出される結論は、有効な治療法が確立される(治療薬プロトコルなど)までは、個人の活動レベル(どのくらいの感染リスクを負う活動を許容するか)と、用意する医療リソース(医療従事者と設備)のバランスをとり続けるしかないということになります。そしてそれは2,3年ですめば良い方です。

 

医療リソースを増やすならその分、感染者が増えても問題がないですから、活動制限を緩めてもよいでしょうし、医療リソースが逼迫するなら、感染者を減らすべく活動レベルを落とすしかありません。

残念ながら、医学部陸上部はいまのところ活動はできていません。しかし、全感染者の数は上昇し続けています。(最近頭打ちしているように見えますが、お盆のせいだと思っています)   つまり、治療法が確立されるまで(2,3年後ですめば良い方)はこのままという結論になります。(https://hazard.yahoo.co.jp/article/20200207)

 

世の中の人は不都合なことはあまり言ってくれません。マスコミはマスコミの、製菓会社は製菓会社の、製薬会社は製薬会社の、研究者は研究者の都合でしかものは言いません。この意見が完全に正しいとは思いませんが、冷静に積み木を積み上げるとこういう結論を出すこともできます。不都合な結論に目を背けるのは簡単ですが、あまり生産的とは思えません。個人的には5年はこのままの状況が続くと仮定して動いています。そこそこ人生設計が変わっています。(笑)

 

では、陸上部はどうするのでしょうか?幹部はもうすぐ交代するでしょうから、4-6回生はもう全員主役ではないです。3回生は幹部、2回生は新歓担当なので、この事態に主体的に取り組んでくれるものと信じています。

 

残念ながら、4月以降、陸上部は活動がオンラインベースでもほとんど出来ていません。何人かの有志でオンライン陸上部を行っていたのですがかなり面白い時間を過ごさせてもらったので、そういう取り組みをするのも良いでしょう。自粛生活で体型が大きく変化してしまったという同級生も多かったので、部活に入部していなくても、気軽に自宅で運動しあえるコミュニティの場を提供するといった活動を陸上部で行うのも良いと思います。2,3回生が協力してほしいと言えば、僕を含め4-6回生も力をかしてくれるに違いないので、ぜひ考えてみてください。

 

陸上部はよく悪口を言われるように、体一つでできる手軽なスポーツです。走る、投げる、跳ぶといった動きを究めることは、他のスポーツにも役立ちます。先輩とのつながりや、同級生の友達ができること、過去問がもらえるといった古いセールスポイントで勝負をしていない陸上部ならではのやり方があるのではないのでしょうか。(暴言が過ぎました。(笑))

 

正直なところ、来年の大会が開催されないことも覚悟していますが、陸上が好きなので、練習を続けています。来年には足首を治して、ベストを更新してやろうという意気込みを持っていますし、陸上バカなのでおそらくそれがなくても体は動かしているでしょう。こんなバカばかりなら、なんの問題もないのですが、数年間この状況が続くというのは、陸上部にとっても危機的状況です。ここ数年は上昇気流に乗っていたので、余裕ぶっこいてましたが、そうも言ってられません。しかし、乗り越えられる危機だと思いますし、こういうときこそ楽しんでいきましょう。とりあえず、8月30日に陸上部zoomが開催されるそうなので、みなさん参加して、当事者意識をもって望みましょう。あつ森やってる人は連絡ください。

 

 

1.        Ibarrondo, F. J. et al. Rapid Decay of Anti–SARS-CoV-2 Antibodies in Persons with Mild Covid-19. N. Engl. J. Med. (2020) doi:10.1056/nejmc2025179.

2.        Long, Q. X. et al. Clinical and immunological assessment of asymptomatic SARS-CoV-2 infections. Nat. Med. 26, 1200–1204 (2020).

3.        Pollán, M. et al. Prevalence of SARS-CoV-2 in Spain (ENE-COVID): a nationwide, population-based seroepidemiological study. Lancet 0, (2020).