kyotomedtrackandfield’s diary

ー京都大学医学部陸上部の公式ブログー

京都選手権優勝するまでの話

お久しぶりです、4回生の大西です!

番外編のブログを書いてほしいという声が一部からあったので、パソコンの前に向かっています。何を書くのが正解なのかわからないですが、自分の話と陸上の話しかしないと思うので、暇で興味のある人だけ読んでください(笑)

 ※ただの個人の日記になりました。ご了承ください。

 

 

このブログを書くことになった経緯ですが、先日7/17(土)に行われた京都選手権の走幅跳に出場し、7m32 (+1.1) の自己ベストで優勝することができました!番外編ということで、まあその感想とかを書けばいいのかなと思っています(笑)

 

 

まず言いたいのは、わざわざ競技場に来て応援してくれた皆さん、そしてメッセージをくれた皆さん本当にありがとうございました!走幅跳のみならず陸上競技は、メンタルによってかなり記録が変わってきます。このようなサポートや応援なくしてはこの結果はなかったと思います。

 

 

少し昔のことを振り返ると、僕のこれまでのPBは高校3年生時の2016年6月、インターハイ京都府予選で出した7m08でした。この日、ずっと目標だった7mという壁を初めて越えましたが、結局それ以来PBの更新どころか7mも一度も跳ぶことが出来ないまま5年という月日が経ったことになります。

 

 

1年の浪人を終えて、あまり迷うことなく大学でも陸上を続けることを選びました。1回生の時にどのようなことを感じていたかは正直あまり覚えていませんが、入学して一発目の大会だった関医対で6m55を跳んで、思ったよりは落ちてないな、と感じたのは覚えています。

 

 

ただ、ここから順調に競技力が戻っていく、というようにはいかず、6m6、70前後をうろうろといった結果が続きました。2回生の関西医歯薬で大学ベストの6m80を跳びましたが、その日の調子がけっこう良かっただけに、これでこの記録ならPBはまだ遠いな、と感じてしまった記憶があります。

 

 

医陸にはコーチがいません。高校の時は顧問がいて、その指導を疑うことなく練習をしていれば自然に結果が出ました。周りのレベルが高く、恵まれた環境だったのもあると思います。医陸では部員同士でメニューを考えたり、アドバイスをしあったり、自分でいろいろな動画などを見て勉強したりなど、「考えて陸上をする」という時間が高校の時とは比べ物にならないほど増えました。とても楽しいと感じる一方で、今やっている動きが正しいと絶対的に言ってくれる存在がいない不安や、たくさんの理論を頭に入れることで逆に何を取り入れれば良いのか分からない、といった状態に陥っていたのが2回生の冬でした。

 

 

 その中で大きな転機だったのは、アメリカで行われたトム・テレツコーチの指導セミナーに参加したことでした。数々の世界レベルの選手を育てたテレツコーチの指導は意外なほどにシンプルで、高校時代の顧問の指導と重なることが多々ありました。ごちゃごちゃになっていた頭が、スッと整理されるような感覚でした。スタートは45度に飛び出して地面をプッシュ。正しい姿勢で、鉛直方向に脚を下ろし、股関節周りから力を発揮し、地面をプレスする。腕振りは再現性重視で、下で伸びた後、後ろでキャッチ。目新しいことはないですが、自分はそれすらも完璧とは程遠いし、もっと細部のことはそれが出来るようになってからで良いのだと思うことが出来ました。

 

 

帰国する頃にはすでにコロナ禍が始まっていました。まもなく部活がなくなり、競技場も閉まりました。ギリギリのタイミングでアメリカに行けたのは運がよかったと思います。チームとしても個人としても士気が上がっていたところだったので、本当に残念ではありましたが、自分の競技人生においては、アメリカで学んだことを練習する大事な時期になるな、と感じました。

 

 

自粛中は時間だけは山ほどあります。いろいろなことを考えてしまうし、モチベーションがずっと高いままだったかといえば、全くそんなことはありません。でも今考えると、それまでのような練習強度でなくとも、実家の周りの公園や坂などで練習を継続できていたのはとても大きかったのではないかと思います。

 

 

9月ごろには部活が再開され、ありがたいことに2つの記録会に出場することが出来ました。走幅跳、100mともに大学ベストにも届かず大した記録は出ませんでしたが、自粛中の練習で結果を求めるのは傲慢だ、と割り切ることは出来ました。一方で、自粛中に取り組んできた接地に関しては少し改善できたかな、という感覚もありました。

 

 

僕はシンプルな根幹の考え方の範疇で、練習ごとにコロコロ意識を変えて色々な動きを試すタイプで、それには良い部分も悪い部分もあると思います。いろいろな接地の仕方を試す中で、タイミングや力の入れ方をつかめて以前より一段階良くなったな、と感じた日を覚えています。2021年シーズン初戦の少し前の加速100だったと思います。イメージ的には、それまでは正しい位置に足を置いているだけという感覚だったのが、同じ位置に積極的に力を加えられるようになった、という感じでした。「接地は地面を待つだけ」という派の人も多いので、この感覚が正しいとは決して言えませんが、それができるようになって実際に練習タイムも伸びたので今の自分には合っているのでは、と思っています。

 

 

シーズン初戦の京都陸協記録会では高3ぶりに100mのPBを更新することが出来ました。一方で、そのスピードを走幅跳の助走で出せている感じはありませんでした。ただ、大学に入ってからどうしてもスピード不足を痛感していた僕にとって、今の自分は高校の時の自分より速い、というのは大きな自信になりました。

 

 

猿山力也選手という8mジャンパーのYouTubeをよく見ているのですが、その中で「もう次の試合で8mを跳べる、と思ったその試合に跳んでおかないと、二度と跳べなかったりする」という言葉がありました。要するに、行けると思ったら一気に行け、ということです。

 

 

僕にとってその試合は、この京都選手権でした。というのも、マイコースの関係で8月中旬で今シーズンは終わりであることが予想された上に、4回生の間にどうしても結果が欲しいという思いがあったからです。高校時代の友達や先輩後輩がインカレの舞台で戦っているのを見ると、一般的に大学生が陸上をできるのは4回生までで、それまでに結果を追い求めているんだ、ということを実感します。医陸ではインカレに出場することはできませんが、やはり自分も幹部代である4回生までにひとつ結果を残したい、と思うようになりました。

 

 

陸上では目標の大会に対して調整をしますが、それは具体的には心技体の調整ということです。技と体の調整に目が行きがちなところではありますが、初めにも書いたようにメンタルの状態というのはとても重要で、心の調整、つまり試合に向けてモチベーションを上げ、イメージを膨らませていくことが記録に影響します。その部分に関して、今回は上手くいったと思います。大会の5日前と前日に試験があったので多少は乱されましたが(笑)

 

 

技に関しては試合前の2回の練習で、廣川さんにかなり修正していただきました。走幅跳は助走、踏切、空中動作、着地の4段階に分けられますが、前の段階の動きが次の段階の動きに影響します。つまり、助走が良いと後のすべてに良い影響を与えることになるので、僕は助走を最も重視しています。踏切を意識し始めると動きが小さくなったり減速してしまったりするので、踏切準備に入る数歩前までをいかにしっかりと走れるか、というのが簡単なようで長年の課題でした。

 

 

不思議なもので、試合当日のアップになって初めて、19歩の助走の内16歩までをしっかりと走る、という感覚を意識的に再現できるようになりました。助走のスピードの出し方が改善されるとここまで記録に影響するということです。

 

 

試合が終わったあと、みんなが喜んでくれていて本当にうれしかったですが、僕自身の反応が薄いと言われました(笑)PBの更新とトップ8が目標だった中での優勝だったので、実感がわいていなかったのもあります。ただ、高校で何かがハマってたまたま7mを跳べて自分は幅跳びが得意だと思ってきたけど、実はそんなの勘違いではないか、という気持ちがどこかにあって、確実に自信はある中にも、これだけ合わせてきて今までと同じような記録で終わったらどうしようという不安もどこか感じていて、その中でのこの記録に嬉しいのはもちろん、ほっとしたという気持ちが強かったのもあると思います。

 

 

 

ここまで読んでくれた方がいるとすれば、それは僕のファンでしょうか(笑)あまりこんなことを書く機会もないので、正直に色々と書きました。今はPBを更新できて満足というよりはまだまだ更新したい、という思いが強いです。動画を改めて見ると、最後3歩から踏切への入り方、不安定な空中動作、着地でのロスなど改善点は多くあるし、助走合わせで本数跳びすぎたり、4、5本目の前にジャージを着るべきだった、などの反省もあります。テレツコーチが「25フィート(約7m60)目指せる」と言ってくれた時、正直ほんまかいな、と思ってしまいましたが、今は目標は大きく25フィートを目指したいと言えます。

 

 

 

ここまで勢いで書きましたが、読み返したら合格体験記みたいになってて恥ずかしくなってきました(笑)

なのでこの辺で終わろうと思います。何を成し遂げたわけでもないので誰かのためになるようなことは言えませんが、特に今のPBに壁を感じている人には、何かのきっかけで感覚をつかんで突然記録が出ることもあることを知ってほしいし、今回の僕の結果が刺激になって誰かのモチベーションに繋がれば何よりだと思っています。

 

 

気付けば幹部交代もあと少しですね、、

この秋以降は、ガイドライン的に一緒に練習できる機会は減っていくかと思いますが、それまで皆さんよろしくお願いします!特に僕が洛南から輸入した練習に関してはちゃんと伝える義務があると思うので、何かあれば聞いてください(笑)

ではでは、長文失礼しました。最後まで読んでくださった方はありがとうございます!

 

 

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